誰のためのデザイン?

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

数十年前の本であるが、今でも通用する箇所が多数見受けられる名著。
日常のあらゆる製品にデザインは存在し、その中には優れたデザインもあれば首をかしげてしまうデザインも存在する。たとえば別の支社に電話したいとき、14番を押してから相手の電話番号を入力するという行為は14番というボタンを押してからでないと操作できないという点でおかしい。この本の中では優れたデザインのポイントとしていくつか紹介されている。キーワードをいくつかピックアップ。
〇対応付けの原則
コントロール手段とその動きと、それが実際の世界に及ぼす結果の関係

物理的なアナロジーやある文化内での標準的な決まりをうまく生かした自然な対応付けを利用すると、すぐに理解できるようになる。(P.35)

〇フィードバックの原則
どのような行為が実際に遂行され、どのような結果が得られたかに関する情報をユーザに送り返すこと。電話のボタンをプッシュしたときは音が鳴るというのが例で記載されている。

〇可視性

目で見ることによって、ユーザは装置の状態とそこでどんな行為をとりうるかを知ることができる(P.86)

ビデオデッキにビデオが入っているかどうかの確認方法がなければ、ユーザはビデオが入っていないのに再生ボタンを押し続けてしまう恐れがある。電子レンジで中に何を入れているかが見えなかったら非常に使いにくいだろう。

〇よい概念モデル
操作とその結果の表現に整合性があり、一貫的かつ整合的なシステムイメージを生むものでなければならない。

〇頭の中の知識と外界にある知識
意味のある関係に関する記憶。ここではコンロで例を説明している。(コンロの場所とつまみの場所が関連付けて設置されているから説明を受けなくても、どのつまみを利用すればどのコンロが利用できるかが瞬時に判断できる。)

〇制約があるからこそ自然な対応付けが可能になる
レゴのブロックははめることができないようになっている場合はその方法が誤っていることを示してくれる。

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この本の中ではCDを聞くときに曲名を表示できるようにしてほしいと書いてあるが、今ではこれが当然の機能になっている。このようにデザインは常に発展し続けているとともに近年は非常に重要視されている*1

*1:アップルはここを最重視してきたからここまで成長したと言っても過言ではない