企業再生マネジメント
- 作者: 安田隆二
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2003/07/01
- メディア: 単行本
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感想としては前回の小説を解説したような感じである。企業再生のシーンごとにどのような手段を講ずるべきかを論じている。たとえば倒産寸前の会社が最初に行なう手術は何かという問いに対して、答えはできる限り負債を圧縮するために余計な資産を売却することなどを提示している。価格をアップさせる、売掛金の回収を早める、コア事業ではあるが利益が少ない事業に関しては他社との合併を進める、などを迅速に行なうべきである。このような状況で「あと少しで芽が出る技術があるから、より一層の投資を実施する」なんてことを決してやってはいけない。このように、企業がおかれている立場、環境ごとにどういう対処をすべきかも記述されているので、体系的に学ぶことができた。
なおこの本には小説より一歩踏み込んだ理論が登場している。特徴的なのはフリーキャッシュフローやWACCを利用した現在価値計算の部分である。これは事業の売却を行なう基準価格を算定するためのものである。倒産寸前の会社の中にも儲けが出ているがコアではない事業が存在する場合、売却することで返済を早めることができる。
自分が所属する会社がこういう状態に陥ってほしくはないが、こういう手段があるということを知っておくことでより広い視野で事業を見ることができるのではないか?