サムスンの決定はなぜ世界一速いのか

サムスンの決定はなぜ世界一速いのか (角川oneテーマ21)

サムスンの決定はなぜ世界一速いのか (角川oneテーマ21)

時間つぶしのために立ち寄った本屋で買った本。日本の大手メーカーが手をこまねいている間に急成長して、いつのまにか抜き去ったサムスンの特徴を記している。
読んでいて感じたことは以下の通り
・会長の大胆な意思決定
「妻と子供以外はすべて取り換えろ」という指示を出すぐらいの大胆な意思決定を行っている。こういう環境であると社員は常に危機意識を持って仕事をするのであろうし、また会社も不振事業からの撤退等の組織改革も即座にできるのであろう*1
・技術よりもアプリケーション
基礎技術の研究も大事だが、サムスンはそれよりも早く製品化することに力を入れているという。「会社の目的は儲かること」と考えれば、そう考えた方が手っ取り早いかもしれない。逆に考えれば基礎技術のレベルはまだまだ日本が上という記述もあるように、基礎技術から製品化するプロセスを改善できれば日本メーカーもまだまだ勝負できるということか?
・「現地・現材・現人(P.95)」
つまり、現地の人が一番欲しがっている製品を作るということである。高スペックの高価格の製品より特定のスペックだけでいいから安い製品にニーズがあるのならそれを提供するというのがサムスンのやり方だという。この点は最近日本企業の取り組みも話題になっている。
・「見える化」より「見せる化(P.62)」
「うまい!」と思った表現。見える化だけでなく、相手に有用な情報を提供する「見せる化」が徹底されているという。サムスンであれば技術者が営業向けに製品のセールスポイントをまとめた情報を提供するといったことがシステム化されているという。多くの会社で営業とエンジニア間で情報の断絶が起こっていると思われるのだが、こうやって埋める必要があるのだろう。この点は個人的には非常に参考になった。

*1:そんな環境で仕事するのがわくわくする人がいれば、常に不安に苛まれてボロボロになる人もいるであろうから、一概に良いとは言えないが。