戦略プロフェッショナル

有名な経済(経営か?)小説。小説を読みながら企業の戦略が学べるという類の本。
まず売るべき相手を明確にし、そこから攻めていこうという作戦や、また思いつきの価格設定を改めて販売を展開していくといった、ごく当たり前な戦略方法が紹介されながら小説形式で記述されている。また自社の分析をしているところなどは普段あまりお目にかからないお話だったので新鮮だった。
非常に小気味よく展開されているが、「現実はこうはうまくいかないんだよ。ぶつぶつ。」と小説を読んでいくとこのように思う人は多いはず。それもそのはず、この企業は非常に競争優位な商品を持っているからだ。「この商品は他の企業の1年先を行っており、さらにこの商品を導入すれば顧客は1年ちょっとで投資資金が回収できるし、さらに作業効率も数倍にアップ」なんて、少なくとも私の属する業界ではあり得ない。実際の企業はたいていいくつもの企業との製品競争を行い、似たり寄ったりの製品を必死に売り上げようと努力しているのだ。
私は技術系の仕事をしているので営業の方たちがどのように商品を売っているのかはわからない。しかし作っている自分から見ても、「この製品を導入する意義ってあるんだろうか?」と思ったのは、これまでいくつか遭遇したことがある。この小説に出てきているような商品を作り、こういう営業ができる、っていうのは非常に理想なんだろうな、と読みながら考えた。